る街の本屋さんへの支援としては、これから動き出すということでしょうか。 そうですね。プロジェクトが動き出してまだ数カ月ですので、予算が確保されているわけでもありません。とはいえ、実際に多くの街の書店は経営的に厳しい状況にあり支援を必要としています。そこで現状、我々にできることはないかということで、今進めているのが、中小企業に向けた補助金や助成金の活用です。 個人で経営されている街の書店は中小企業になりますが、みなさんのお話を聞いてみるとこれまで助成金とか補助金にほとんど手を挙げていません。というのもこういった助成金は自分たちで調べて、申請の書類を揃え、手続きをして報告書を提出して……とすごく手間がかかります。家族で経営をしているような小規模な書店ではこういった助成金を活用するのはすごくハードルが高くなっています。そこで今プロジェクトチームと一緒にどういう補―実際に経営に困ってい立ち上げられたのが、「書店振興プロジェクト」です。齋藤大臣は2016年の最初の議員連盟から参加されていまして、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」の幹事長を担当されています。齋藤大臣は本と出会う場所は「書店」「図書館」「ネット」の三つがあり、それぞれが持ち味を発揮しながらしっかりと連携することが日本の出版文化を守る上で大切だという話をされています。ただこの三つの中で、書店だけがどんどん衰退している。このままでは日本の出版文化を守れないという危機感からプロジェクトを立ち上げたということだと思います。―「書店振興プロジェクト」は、現在どのような活動をしているのでしょうか。 4月と6月の2回、書店や出版社、取次など、書店小売りの関係者と齋藤大臣が直接意見交換を行う、「車座ヒアリング」が開催されています。 4月のヒアリングでは、齋藤大臣と書店経営者などが参加し、書店側からは補助金制度やキャッシュレス決済、無人書店などへの支援などを求める意見が出されました。 6月に開催されたヒアリングでは、齋藤大臣のほかに、上川陽子外務大臣、盛山正仁文部科学大臣の2人の大臣が参加。直木賞作家で書店の経営もされている今村翔吾さん、敦賀市の公設書店「ちえなみき」店長の笹本早夕里さんたちと意見交換をされました。車座ヒアリングは会場に 4業省内のクールジャパン政マスコミを入れ、すべての議論を公開するオープンスタイルで実施されています。これは現在の状況が続けば本当に街の本屋さんがなくなってしまうということを一般の人に広めるためです。そのため、書店振興プロジェクトの発足時も新聞各紙で取り上げられ話題となりましたが、車座ヒアリングもいろいろなメディアで紹介され注目を集めています。 さらに7月には、経済産策課とコンテンツ産業課、伝統的工芸品産業室が統合し、「文化創造産業課(クリエイティブ産業課)」が新設されました。 プロジェクトが立ち上がった段階では、コンテンツ産業課がプロジェクトを担当されていました。ただ、コンテンツ産業課は本来、出版社のコンテンツを海外に展開する支援をしたり、海賊版対応などを担当する部署です。書店もコンテンツを守るために大切な存在ということでコンテンツ産業課が担当していましたが、それを強化する形で文化創造産業課が設置されました。実はこれまで書店を担当する省庁は決まっていませんでした。我々が窓口として書店組合からこうしてほしいという要望を受けると、内容によってこれは中小企業庁、これは文部科学省、文化庁と内容に応じて相談先を考えて持っていくわけです。相談を持ちかけてもうちは担当ではないのでと、お話が進まないこともありました。それが経産省に正式な窓口ができた。これは非常に大きな変化だと思っています。助金があって、どういうケースで使えるのかといったものをお知らせして、活用を検討していただけるようにしようという取り組みを進めています。 あともう一つ、書店の大きな負担になっているクレジットカードの手数料の問題についても取り組みを進めています。1冊本を売ると価格の約ります。そこから光熱費や家賃、人件費などを引いた純利益は平均でわずか1%ほどと言われています。ところがクレジットカードをはじめとするキャッシュレス決済は、書店の負担手数料が2〜3%となっています。書店としてはキャッシュレスで決済をすると本を売るたびに赤字という状況です。とはいえ今やキャッシュレス決済は普及し、大型書店では支払いも半分近くがキャッシュレス決済となっています。キャッシュレス決済を受け付けないというのも難しい状況です。 実はキャッシュレス決済で事業者が負担する手数料20%が粗利として書店に入
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