雑誌広告2025_01
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なMANGAコーナーが備えられ、そのことを示していた。さらにロウワーマンハッタンで開催されたポップアップイベント「KODA NSHA HOUSE」にはたくさんのMANGAファンが駆けつけ、各々が好きな作品と触れ合い、コミュニティを形成することを楽しんでいた。 このようにMANGAが2008年に漫画の編集からディストリビューションまでの事業全般を開始したことが大きな転換点となり、現在KODANSHA USAの売上の99%を漫画が占めるまでに成長した。 「漫画」が「MANGA」として世界で認知され始め、徐々にマーケットを生み出している。実際にユニオンスクエアのBarnes & Nob leではフロアの一画に立派 講談社がアメリカに進出したのは1966年。「日本の文化をアメリカに広げる」という目的のもと、日本食や着物、マーシャルアーツや日本語教材の本を中心に、アメリカ国内での本アメリカで広がりつつある背景をKODANSHA USAの作田氏に聞いた。一つはコロナ禍による巣ごもり需要が大きかったという。ロックダウン中に一気読みできる既刊本が爆発的に売れ、そのマーケットに確実に火をつけた。アメリカで好まれるのは『進撃の巨人』のような、動きがありかつキャラクタードリブンな作品である。日本で売れるものがアメリカでも売れるとは限らないからこそ、作品の選定は慎重に行っている。さらにアメリカの読者はコレクター気質が強く、電子漫画よりも紙漫画の売上が大きい。そこに着目しハードカバー版を展開するなど趣向を凝らしている。一方で、今や書籍売上の8%を占めるオーディオブック展開は漫画においては成功事例が無いという。 世界に広がるMANGAマーケットだが、その裏には現地法人による様々な試行錯誤やマーケット特性に合わせた戦略を遂行する体制が必要であることがわかった。それと同時に広告に携わる者としては、グローバル×IPタイアップの潜在的なニーズをいかに捉えて形にしていくのか。その体制構築をもセットで見据えていかなければならないと感じた。世界に広がるMANGAマーケットその裏側にあるローカル戦略中村一喜(電通)櫻田晋哉(小学館メディアプロモーション) 1917年設立、アメリカを代表する大型書店チェーン「Barnes & Noble(以下、B&N)」は、Amazonとの競争に敗北し2019年に英国の投資会社エリオット・アドバイザーズに買収された。CEOに着任したのは英国の書店「ウォーターストーンズ」を建て直したジェームズ・ドーント氏。彼は知的に満足できる書店を目指し、仕入れや陳列を店舗スタッフに任せて店舗ごとの独自性を出すと売上は回復、21年にはパンデミック前の数字にまで戻してみせた。そんな「B&N」の本店はユニオンスクエアにある。重厚な扉を開けて中に入ると、高い天井と広々としたフロアにため息がもれる。推しの作家(この時はサリー・ルーニー)のハードカバーが目立つ位置の平台につまれ、この店がこの作家を推薦しているのだということが一目瞭然。壁の棚に目をやると「YOUNG ADULT(ティーン向け)」「ニューヨーク・タイムズのランキング100」などに分類された本が床から天井までびっしり。しかも表紙が見えるように陳列されている本が多く、新しい発見を求めて書店を訪れる人々の期待に応えている。 2004年に創業し今やN.Y.に5店舗を展開するインディペンデント書店「McNa lly Jackson」は、毎日どこかの店舗で読書会などのイベントが開催されている本好きのコミュニティ。品□えでは「B&N」にかなわないまでも、ワクワクさせられる作りの店舗には若者が集い、語りあっている。アーティスティックな文具のコーナーもあり、旅行者ならばお土産にピッタリのアイテムも見つけられる。 品□え豊かな「B&N」と個性的な「Mc 本とめぐり合い、語れる場リアル書店がいま担う役割石井桃子(マガジンハウス)作田貴志氏のディストリビューションを担ってきた。当初は文化事業的な側面が大きかったが、1B&Nで目立つサリー・ルーニー(上)、若者が集うMcNallyJackson(右)出版社の取材からKODANSHA USANally Jackson」。アメリカ人は幼少期から本に親しみ本好きが多いというが、どちらもそれぞれのやり方で、本を愛する人々の心をつかんでいるようだ。5

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