雑誌における広告費と時間占有率を相対的に見た場合、見られている時間自体は多くはないが、時間占有率の2倍の広告費が獲得できていることから、2倍の広告費の価値があると理解でき、広告費としては下落傾向にあるものの、プライマリーメディアとしての強みがあると考えられている。 「まず、今後、雑誌としては4C1Pというページベーストではなく、インプレッションを測定する新たなフレームワークを持ち、雑誌1インプレッションの価値(時間占有率に対する広告費)がその他メディアと比べて高いことが正当に評価されるように業界全体で向き合っていくべきと考えます。次に、ながら視聴が増えてきた時に、セカンダリーメディアで流れているものと、集中して見ている雑誌ではそもそもメディアとしての価値が異なるはず。雑誌には〝アテンション〟という強みがまだまだあるため、業界として〝アテンション〟という新しい指標を作り、プランニングのプラットフォームに適用されるような仕組みを作っていくことが必要です。最後に、雑誌の高いコンテンツ力(編集・企画・取材力)を、AIを活用して大量生成していくことで、編集タイアップが新しいメディアとなり、雑誌の魅力を高めることが可能と考えます」 さらに、漫画市場の成長に期待を寄せている、とも。 「特に若者へのエンゲージメントを強化したいクライアントが漫画やアニメには大変注目しています。我々も日本のIPを活用したビジネス展開を考えています」* * * アメリカの雑誌広告市場における課題は日本においても同様で、「メジャーメント」「アテンション」「AI活用」について我々も注視すべきであろう。また「MAN GA」が今後の盛り上げ役となることに期待したい。組むべきことを聞いた。 総広告費の2028年までの成長率予測は年率6〜9%で、アメリカのGDP成長率が3・9%と考えると、非常に高いものである。 総広告費におけるデジタルの割合は、2024年時点で総広告費の75%を超えており、2028年には限りなく90%に近づく予測。 一方で雑誌広告費の成長率は、2028年まで年2%ずつの減少と予想されており、総広告費が年8%成長すると仮定すると、その差は10%ほどの開きとなる想定で、非常に厳しい状況と言える。デジタルマガジンのみに絞ってみると、対前年減少には至っていないものの、最終的には伸び率は鈍化すると予想される。 マルチタッチアトリビューションを広告主に求められるアメリカのエージェンシー。そのためにはメジャーメントと個人情報の取得が欠かせない。電通のグローバルネットワークであるMerkleは、元DM会社として個人情報データを保有しており、外部のマーケットプレイスデータを統合することで、アメリカ世帯の95%以上、18歳以上の男女に関しては2・7億人の個人情報を保有している。Dentsu AmericasのKoni shi氏、Naito氏に、広告の現状と雑誌業界が今後取り雑誌業界に求められる新たなフレームワークメジャーメントの重要性松岡英樹(第一通信社)森川裕康(博報堂DYメディアパートナーズ)アメリカにおける雑誌メディアの市場環境雑誌業界が取り組むべき3つのポイントクライアントも注目するMANGAへの期待※年に一度5月初旬から行われ、その年の9月から始まる新編成に向けてレギュラーシーズン番組のCM枠を事前一括セールスすること。右からRay Konishi氏(Head of Business Synergy)Alex Naito氏(Solution Director)広告会社の取材からDentsu Americasアップフロント※ (UF)から見るアメリカテレビ市場の動向 谷口悦一氏024年からUFにNetflix, Amazonなどストリーミング大手が参入し広告費の流れが大きく変わり始めている。調査会社Video Resea rch USA 谷口社長に状況を伺った。リニアテレビへの広告出稿は2022年がピークで、それ以降は減少トレンド。広告費はNetflixやAmazonなどストリーミング大手に流れ始めている。【ストリーミング大手の施策】■Netflix:エンタメ性を強調したコンテンツに注力■Amazon:莫大な消費者データを基にした配信で広告費を獲得■YouTube: 好調なCTVにおけるストリーミング配信でNo1シェア。 そんな中、視聴データを活かして、従来人気のなかった番組の価値をあげる動き(実はコアなターゲットが見ているという立証)も活発となってきている。この視聴データを活かしたコンテンツの再価値化は雑誌ビジネスでも大いに活かせる切り口であるだろう。 日本の5・1倍(613・1億ドル)の規模を持つアメリカテレビ広告市場。 26
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