理にかなっているように見えるが、消費者の視点に立つと不愉快な広告体験、個人情報管理の不安から、プライバシー保護を求める声も少なくない。 現在アメリカではプライバシー保護に関して国全体の法律はない。いくつかの州では法律が存在し、2 02 5年には全体の半分の州で法律が成立する見込みだそうだ。規制が厳しくなれば、企業は個人情報を手放さなければならず、「メジャーメント」ができなくなる。 そんな中でも希望はあるとIAB Tech LabのCEO、Anthony氏は言う。IDBのCEOであるDavid氏は話し始めた。企業が提供するサービスのDX化が加速している。日本以上に多くの人がオンライン上で個人情報を企業に提供し、企業はそのデータを元にサービスをブラッシュアップしていく。また、企業はその個人情報を利用して、広告を「メジャーメント」し、費用対効果を数値化する。 プライバシー保護の問題が深刻化している、とIAソリューションやデータクリーンルームなど、法律に準拠し、データを保全しながら広告を「メジャーメント」する技術が生まれている。さらに、AI分野では大規模言語モデルを活用して、個人情報は使用せず、テキストやSNS投稿の文脈のみで最適な広告を掲載する技術研究も進んでいる。 日本でも法律、技術面で似た動きがあるが、広告の本質は「消費者の気持ちに配慮しながら、媒体を通して最適な情報提供を行う」ではないか。めまぐるしい市場環境の変化の中でもそれを忘れないようにしたい。プライバシー保護と広告技術革新試行錯誤の中で問われる広告体験山崎瑛記(講談社)吉田雅美(東急エージェンシー) 研修の合間にランニングやウォーキングをかねて、ニューヨークの街中にはどんな媒体があるか調査してみた。 まずは最大の繁華街、タイムズスクエア。ここは、東京に例えると渋谷駅前をイメージしてほしい。デジタルサイネージに囲まれており、屋外ビジョンが常に光を放ち、24時間街を明るく照らしている。化粧品や映画、ファッション、スポーツなど幅広いジャンルの広告がここでは□れている。日本のデジタルサイネージは基本的に15秒1枠としているが、アメリカは13秒や20秒のCMなど様々。また切り替えも速く、いつの間にか違う広告に切り替わっていることが多く、一度見出したら終わりがわからず、見続けてしまうような流れで放映されていた。 繁華街を離れると屋外ビジョンはほとんど見当たらず、シティスケープ※など公道上の広告が多くを占めている(※日本で主にバス停広告として存在)。シティスケープはエリアによって広告ジャンルがバラバラであり、セントラルパーク周辺はNew BalanceやHOKAなどスポーツブランド、オフィス街はSalesforce、ショッピング街ではUGGやARMANIなどのハイブランドが目立った。 また車の交通量の多い大通り沿いは、サイネージではなく、まだまだ看板が主流で、一目で何の広告かわかりやすい、インパクトが強いビジュアルが多く掲出されていた。こういった考察をしながら知らない街を自分の足で回るのはとても楽しい!左からDavid Cohen氏(チーフエグゼクティブオフィサー)Anthony Katsur氏(IAB Tech Lab チーフエグゼクティブオフィサー)歩いて走って体感したNYの屋外OOHの効果吉川雄太(ムサシノ広告社)2業界団体の取材からInteractive Advertising Bureau(IAB)最大の繁華街タイムズスクエアシティスケープなど公道上の広告7
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