雑誌広告2025_12
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 年間定期購読という形態は新聞広告においてもメリットがある。 「通常の出版社は雑誌単号の広告を打ちます。一方『ハルメク』は年間の購読料(7 800円)を最初にいただくので、新聞広告を一度出すとそれで終わりということはありません。たとえば、テスト的に地方紙に広告を出すと、どんな反応があったのかがお客様センターの調査結果で全部わかります。その情報をもとに、修正した広告を全国紙で展開するという取組みもできるんです」(八頭司氏) 定期購読継続の状況についても聞いてみた。 「年間購読なので購読中の解約というのはわずかです。1年後も3割程度の方が継続してくれます。2年目になると6割ぐらい、3年目になると9割近い方に継続していただけます。テレビなどを見て申込をしたという方も多く、『ガイアの夜読者に全ページの満足度を聞く調査をかけています。これは戻ってくるのが3 0 0人ぐらいですが、この結果を価値観による独自のクラスターで分類しています。一つの号を制作するスタートの段階で3カ月はリサーチするのですが、そこから特集のテーマを決めて編集、刊行までのタームは6カ月で、これを繰り返しているわけです」(八頭司氏)明け』で紹介された時はすごい反響でした。 通販や店舗でお買い物をされた方、イベントに参加した経験のある方は、やはり経験のない方と比較すると継続率は高くなっています」(入山氏) こうして、ハルメクグループは雑誌単体でも黒字の状況だが、売上げの8割は物販であり、上場区分では小売業だ。『ハルメク』の定期購読をすると本誌にプラスして『ハルメク健康と暮らし』『ハルメクおしゃれ』の2冊の通販カタログが送られてくる。そこで販売する商材は多彩で、「読者世代の人たちが本当に欲しいと思っているものが世の中になければ、自分たちで作ってしまおうということで、商品が増えていきました」(入山氏) それゆえに、自社で販売する商材と競合する商品の広告掲載はできないというが、とはいえ「『ハルメク』の広告枠は3〜4カ月先までほぼ満広です」(八頭司氏)とのこと。 そのクライアントは金融、食品や製薬会社、通信キャリア、さらに行政や自治体といったナショナルクライアントが多い。これらのクライアントが『ハルメク』に出稿する第一の理由は、もちろん50万部近い発行部数だ。しかも返品はゼロで、すべての本が読者に届く。つまり無駄がない。それだけではない。 「最近は知見を求められるケースが非常に多くなりました。問い合わせの半分ぐらいは単純な出稿ではなく、マーケティングの上流部分の相談が占めます。われわれには『生きかた上手研究所』があるので、マーケット調査や共同での商品開発、あるいは発売したものの苦戦している商品を売るにはどうしたらいいかというコミュニケーションの部分であったり、コンセプトを再設計するにはどうしたらいいかという相談にも対応できます。しかも、他の調査会社と違うのは、その結果をレポートにして出すだけではなく、自社の事業で蓄積されたデータをもとに、調査結果に考察を加えた提案もします。さらにクリエイティブを作ることもできますし、テストマーケティングのフィールドもあるので、そこまで一気通貫でできる点が強みです。 たとえば製薬会社さんがワクチンの普及・啓発をしたいというニーズがあります。その場合、そもそもシニア世代がワクチンに対してどのぐらいの知識があるのか、どうやったら接種に行くのかという実態を把握し、どういうコミュニケーションをすれば態度変容につながるかを考えます。その後実際にクリエイティブを制作して『ハルメク』に掲載し、先ほど言った満足度調査をします。広告についてもこのデータを出すことはできますので、そこからさらにPDCAサイクルを回して、次はどうしようという話になっていきます」(八頭司氏) こうなると、当然、クラ定期購読者獲得大躍進のきっかけとなったスマホ特集は、その後毎年掲載される度に新規の会員を増やす「キラーコンテンツ」となっている会員組織を活かしたマーケティング調査の依頼も増加中ハルメク・エイジマーケティング営業局長八頭司 尚氏4

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