いますか? 企画力は、活きると思います。一方で、活字は取材したあとに、再構成できますが、動画は基本、一発勝負。リアルタイムの勝負です。撮り直しもできますが、それをやっていたらキリがない。だから出演者は、トーク力やアドリブ力が求められるわけです。その点は、活字とは別ものです。新たに経験を積む必要があると思います。刀から銃へと時代が移行したように、動画シフトが加速するなかで、過去とは違うやり方を、勇気を持って学ぶことができるかどうか。それに尽きるのではないでしょうか。━出版社がビジネス動画市場で生き残るためには、何が必要だと思いますか? 広告ビジネスという視点では、リーチが必要ですし、ユーザー(ファン)がいないといけません。そのためにはオリジナルの人気コンテンツが必要というのは、雑誌と同じ構造です。ビジネス動画においてもメディアとして成長し、ブランドやリーチを伸ばしていく。 雑誌の編集者は、企画を考えるのが得意ですし、人脈や専門知識もあります。専門性の高いコンテンツは、YouTubeではまだ少ないので、そこへのニーズは確実にあると思いますし、雑誌と動画メディアの相性は良いと私は思っています。 課題となるのは、マネタイズでしょう。YouTubeで動画の再生数が伸びても、連動しているネットワーク広告の収益というのは期待できるほどではなく、『PI VOT』でもそこには頼っていません。 出版社が続々とYouTubeに参入していますが、動画をプロモーション的に活用して、雑誌や本が売れることはあると思います。しかし動画単体で、いかにマネタイズにつなげるかが重要です。多くの雑誌編集者は、コンテンツ制作に特化しており、マネタイズまで意識している方は少数です。なぜなら、雑誌業界のビジネスモデルがしっかり確立されていたからです。しかしビジネス動画に関しては、そうではありません。コンテンツが人気になった先のマネタイズまで開発していく必要がありますし、その壁を乗り越える難しさが存在します。━出版社が手掛けるビジネス動画の勝ち筋は、どこにあると思いますか? やっぱり企画力。それと人脈を活かしたキャスティング力ではないでしょうか。加えて、営業力もそうですね。すでに広告主とのつながりがあるというのは大きいですよね。もうひとつ、雑誌由来のブランド力がありますが、それが決定的に重要かと言えば、そうではないかもしれません。むしろ、それを押し出しすぎると「オールドメディア」とネガティブに捉えられるケースもありそうです。 企画力や人脈というのは、新しいメディアが持っていないものです。つながりがあると、出演者の方も安心して出られる。そのいい例が『文藝春秋PLUS 公式チャンネル』です。持っている信頼とネットワークを活用し、著名な方が多数出ている。これも同社だからできることですよね。そうした既存の持っているチカラを、動画にいかに横展開できるかが成功の鍵になるのかもしれません。━キャスティング力は、ビジネス動画の重要な要素なのですね。 すでにビジネス動画はジャンルとして確立されています。いまや競合が多すぎるくらいです。我々『PIVO T』もあれば、『NewsPicks』や『ReHacQ-リハック-』もある。さらに出版社発のものもある。似たようなコンテンツが増え、飽和状態とも言えるほど、多くのプレイヤーが集まっています。 そのなかで差別化するには、企画と、キャスティング=聞き手が重要になります。テレビは団体戦ですが、YouTubeは個人戦です。YouTubeでは、一対一でじっくり話しているコンテンツのほうが受ける傾向にあります。だからこそ、聞き手の魅力、惹きつけるチカラが、決定的に大事な要素になるんです。━雑誌の編集力は、動画コンテンツでも活きると思携わっていましたが、活字は多少、誤魔化せるんですよね。話が下手な人でも編集によって、上手に見せることができる。ですが、動画は違います。雑誌と動画の相性は良い課題はマネタイズいまの時代は、〝アドリブ感〟が大事です。その問いに対して、すぐに反射的に答えられるかどうかが重要で、ビジネス動画にも、そのスキルが求められているように思います。 ちなみに人間に限らず、レポートもの、たとえば工場見学なども『PIVOT』では配信しているのですが、写真で見るよりも明らかに動画のほうが情報量は多い。伝わりやすさという点では、動画のほうがメディアとして有能だと思います。━昨今、出版社もビジネス動画に着目し、参入するケースが増えています。『PIVOT』代表取締役CEO 佐々木紀彦氏4
元のページ ../index.html#4