雑誌広告_06
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sai-zen-sen私が考える雑誌の特長は、読者がお金を出して買っているということ、それぞれの雑誌は個性を持っており、雑誌ブランドと表現されていることです。そこが雑誌のユニークなポイントであり、雑誌広告の活用において最も重要なポイントではないかと考えています。商品の認知、理解を目的とするなら、投下量によっては関与度とパーコストの低い媒体活用も有効かもしれません。しかし、「あなたのためのものですよ」とか、ユーザーにとって「自分の目指している暮らしを実現するために必要なものはこれですよ」といったパーソナルなリコメンドは、自分がお金を出して買った好きな雑誌から提案されるからこそ価値があるのではないでしょうか。 リーチだけに注目すると、雑誌広告の効率は決して高くはありません。では、なぜグローバルに展開するハイブランドが、クオリティの高いクリエイティブを、高価な広告スペースを選んで雑誌に出稿しているのでしょうか。それはそのブランドにとって、自社の商品やサービスがその雑誌のそのスペースに掲載されていることに価値があると考えているからに他なりません。 このような雑誌広告の特性や価値については、これまで体系的に語られてこなかったように思います。今後、雑誌広告は、単なる成功事例の紹介だけではなく、その特性を見据えた活用方法をモデル化する等の取り組みによって、正しい価値が明らかになるのではないかと思います。雑誌広告の効果や価値を定量的に把握してシミュレートすることは極めて困難です。雑誌は各号の特集内容等によって部数も読者層も変動することがあります。過去の部数や読者特性のデータに基づいた評価や検討については、一定の条件のもとでの過去の価値に過ぎないことを理解し、雑誌そのものが有するブランド価値に着目してプランニングすることが重要だと思います。 ブランド担当やメディアプランナーは、自らのブランドの特性はもとより、それに共感してほしい人が読んでいる雑誌と、その読者に響くクリエイティブについて知らなければなりません。 つまり我々広告主側がもっと雑誌を知らなければならないということです。また、出版社の側にも、雑誌は有力顧客との接触効率が高く、ブランドエンゲージメントに優れた媒体であることを認識して、自社の雑誌ブランドが広告主のブランドとどのような要素で関与しているか、という視点での新たな提案も期待したいと思います。 昨今、広告の世界ではデジタルの台頭が顕著ですが、広告主からすると、デジタル広告は、その効果効率の高さの一方で、広告出稿管理の側面で、最も課題の多い媒体とも言えます。課題の多いデジタル広告のなかでも雑誌由来のサイトは、完全なホワイトリストですから、特に雑誌由来のデジタル広告が伸びていることは、当然の流れと言ってもよいでしょう。雑誌由来のデジタル広告は、今後もデジタル広告の重要な役割を果たしていくものと思います。 デジタルの台頭は、雑誌コンテンツそのものにも「読み放題サービス」という形で新たな局面を生み出しました。読み放題サービスは、雑誌広告に関しても新たな活用機会を提供した一方で、雑誌と読者が持つ強い関与が維持されるのか、本誌と読み放題サービスでの広告効果がどのように異なるのか、納得性のある料金体系の整備等、新たな課題も生まれてきていることも事実だと思います。【インタビュー : 四方田 隆】日本たばこ産業株式会社 パブリックリレーション部長(日本アドバタイザーズ協会 雑誌委員長)Vol.   295佐藤 圭氏﹁好きな雑誌から提案されるからこそ価値がある﹂

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