雑誌広告_07
6/8

者の願望を直接後押しし、ファッションビジネスを推進していく原動力となっていくのだ。 こうしたサービスは、数年先のものと2020年年初のCESでは思われていたが、新型コロナウイルスの影響で「バーチャルフィッティングサービス」というカテゴリ名がつき、現在の外出を控えるトレンドの中で、急速に注目を浴びている状況だ。ベースとなる私たちの生活様式そのものが変わらざるを得ないことで、生活空間のデジタル化が一気に進むシナリオがここでも見えてきた。ースを最後に紹介したい。   6ンを介したオンライン診療サービスが8年ほど前から始まっている。日本でも、新型コロナウイルスの影響でこれまで普及していなかったオンライン診療に改めて注目が集まっているが、中国ではすでに生活に定着し、複数の企業が多くのユーザーを抱えて競い合っているような成熟した状況だ。そんなヘルスケア企業の中では今、医師という専門家とユーザーとの会話を、広告商品にする動きも生まれている。ユーザーの悩みと専門家をマッチングすることが企画になっているのだ。例えば、北京のあるオンライン診療の中堅企業は、スキンケア製品を展開するメーカーと共同で「皆さんの肌の悩みに、医師が答えます。オンライン相談10 0 0人分をサポート」という企画を実施している。肌に悩みを抱えるユーザーからすると、無料で専門家に相談できるのは有難い。オンライン診療の企業は、専門家である多数の医師とのネットワークをもっている。専門家への相談費用そのものはスキンケア企業が負担し、自社プロダクトの本格的なイメージ訴求に利用している。昨年開催したこの「専門家との会話」の広告企画は好評につき、今後も継続していきたいと北京本専門家との会話を広告商品にする中国のヘルスケアテック企業ショップの店頭のスマートミラーの3Dカメラに顔と全身を映し出すと、体の厚みも読み取った上で、その人にあうスタイリング一式を提案してくれるという仕組みになっている。実際に試すと、人によって提案してくる服がかなり異なり、体験する人の容姿や雰囲気をきちんと読み取った提案をしており、筆者は見ていて納得感があった。この提案されたスタイリングはそのショップで購入して持ち帰ることも、ECで自宅配送にして購入することも、可能だ。このように、「こんな服にチャレンジして診断コンテンツで新しいファッションへの気持ちを高めるだけでなく、その場で購買に直結するような関係が、鏡という新しい接点に提供されたファッションコンテンツを通じて生まれていたと言えるだろう。 この診断ソフトウェアが搭載されているという家庭用スマートミラーが、今年1月のCESで中国系の家電メーカーから発表された。家にいながらにして、雑誌の誌面でみるような最新のスタイリングのコンテンツが鏡に配信され、試着室のようなチャレンジが可能になるのだ。こうしたデバイスが普及した未来では、現在のような、メディアを通じて幅広く告知をし、読者の認知と関心を獲得し、実店舗に送客し、店頭で試着してもらい、何着も取り換えて、購買の意思決定をしてもらって…という段取りは明らかに減っていくだろう。ファッションにまつわるコンテンツが、紙やスマートフォンの中だけでなく、鏡の中から生活に入り込み、みようかな」という、生活出版社が持つ財産は、誌面などのビジュアル化されたものだけではない。専門家という存在がある。編集長、あるいはその道の識者などのネットワークを出版社は所有しているが、そうした財産を別の形で活用できるのでは、と思わせるケ中国では、スマートフォ杭州の巨大ショッピングモールにあるバーチャルフィッティングミラー。フロント上部の3Dカメラで体の厚みまで計測し、対象者の3DCGを生成。本人の雰囲気とリクエストしたTPOに応じて、様々なアイテムを提案してくれる

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る