雑誌広告2020_10
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﹃FRaU﹄の成功でさまざまに広がる可能性インドでは絵本による教育プロジェクトも 6rate Social したが、今後は企業の理念や目的といったことを、エンターテインメントの要素にくるんで、わかりやすく伝えていく、というのも大事な役割になるのではないでしょうか。これからのメディアの新しい価値は、そこにあると思います」SDGsの盛り上がりを一過性に終わらせないために、『FRaU』は雑誌にとどまらず多方面へ展開を広げている。第1号発売と同時にスタートした「FRaU×SDGsプロジェクト」では、イベント、セミナー、ワークショップが活発に行われ、読者やクライアントを含むパートナー同士の交流の場に。また、SDGs号の人気連載「今日からできる100のこと。」から派生した京都大学との共創企画にもSDGsリーダーとして関氏が参加。環境省が主催する食品ロス削減のためのドギーバッグアイデアコンテストも同氏が審査委員長を務める。 「当初は紙削減のためWEBだけでの展開も考えましたが、やはり一冊の重みやインパクトは雑誌でなければ表現できなかったこと。難しいテーマだからこそ『おもしろい』を伝える雑誌のエンターテインメントの力が必要だと思います」 『FRaU』から始まった取り組みは社内にも波及し、講談社は国連が2018年に発足させた「SDGメディア・コンパクト」に加盟。また、社内SDGs委員会が発足し、社内の各部署でSDGsに関する企画やマネタイズの可能性を探っているという。 一方、海外事業セクショResponsibilityンでは〝教育〟にスポットを当てたSDGsの取り組みも進行中だ。JICA(国際協力機構)の支援を受け、「もったいないばあさん」(真珠まりこ著)の絵本やアニメを通じて、インドの子どもたちに環境についての啓蒙活動を行っている。 JICA資金の活用を発案し、このプロジェクトを推し進めているのはライツ・メディアビジネス局海外事業戦略部担当部長の古賀義章氏。もともとインド好きで、インド版アニメ「巨人の星」を担当していた時期はハイデラバードに駐在していたという古賀氏にまずはその経緯を聞いた。 「インドは経済成長に伴って環境問題が深刻な状況です。モディ首相がクリーン・インディアというキャンペーンを立ち上げ、トイレやゴミ箱の設置などのインフラ整備を行ってきました。ただ、根本的な解決のためには、人々の意識改革が必要です。そこで、子どもたちの環境教育に役立つ日本の絵本をインドで出版してはどうか? と考えたのです」 そして2015年7月にJICAの公募事業「SDGsビジネス支援事業」に応募。通常、農業や医療、下水道などインフラ関連事業の提案がほとんどの中、メディア事業の企画は異例だったという。 「このプロジェクトは弊社の出せる予算ではとても成立しない。そこで外務省の外郭団体であるJICAの承認を得ることで資金を調達し、かつインド政府との交渉もよりやりやすくなるのではと考えました」と古賀氏。さらに、企業の協賛を得られる可能性についても綿密に調査した。 「益のイ2ン%ドのを現C地S法R(人はCo純r利po:企業の社会的責任)活動の予算に使わなくてはいけないという法律があります。伊藤忠商事はムンバイのスラム街の子どもたちを対象にした移動図書館プロジェクトを過去に行っていますし、マルチ・スズキ(スズキのインド子会社)はトイレ設置や飲用水の提供などの面で現地の公立学校を支援。よってこの2社はCSR予算の有効活用ができるうえに、すでに展開しているCSR活動と連携できるので、弊社の読み聞かせキャラバンに協賛してくれる可能性が高いと考えました。それもJICAの企画書に盛り込んだのです」 提案から1年後、本事業がJICAで採択され、プロジェクトがようやく発進。その活動費で現地でのマーケティングも行った。 「絵本の選定にあたっては、まず講談社で英訳されている絵本を片っ端から読んで分類。インドはユーモアを大切にする文化があるので、おもしろさがあって、かつ子どもたちの環境・衛生教育に役立つ内容の絵本を絞り込みました。さらに最終候補に残った3冊を中間層、貧困層が通う複数の学校の年齢の異なる生徒たちに見最新号2020年『FRaU』8月号発売日(7/29)に、オンラインイベントを開催。FRaUプロジェクトパートナー企業をはじめ、FRaU ×SDGsプロジェクトメンバーなど、200名を超える参加者が集結。2時間にわたり、ポストコロナ時代の日本のSDGsについて、活発な議論が展開されたライツ・メディアビジネス局海外事業戦略部 担当部長講談社古賀義章氏

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