それぞれの■好き■を語るのがコミュニティ 4FORZA STYL そんな『FORZA STY象徴したのが初期からの人気シリーズ「アニ散歩」である。古着と酒場を愛する〝アニキ〟こと片野英児氏がナビゲーターとなり、街ブラとショップ巡りをする同企画は、片野氏の飾らない姿がたちまち人気を博し、出演者の固定ファンが生まれるという流れの原点となった。 「この『アニ散歩』がヒットしたことで、YouTubeで支持されるには、変にカッコつけるのではなく、等身大の姿を見せ、読者と同じ目線に立つことが重要なのだと気付かされました」 そして、この「読者と同じ目線に立ったコンテンツ作り」は、ファンコミュニティの成長にもつながった。 「これまでの男性ファッション誌は、カリスマ編集長のような存在が、『これを着たらモテる』と読者に知恵を授ける構図で作られていたと思います。しかし、『FORZA STYLE』では、LE』での経験を通じて、は、コンテンツを作って世に出すところまでが仕事でした。しかし、オンラインではコンテンツを出してからも仕事は続きます。コンテンツを出しても、読者が動かなければ意味がないからです。『E』を始めてからは記事のほか、SNSや動画、生配信、イベントなど、常に読者の声と向き合う日々です。それは我々が一方的にコンテンツを出すというより、読者と共に〝場〟を作っているという感覚です。紙かwebかというのは本質ではなく、いかにコンテンツを通じてムーブメントを起こせる〝場〟を作るのか。それがこれからの編集者の仕事になってくるのではないでしょうか」たはず。同誌の人気動画に出演しているのは、おしゃれではあっても、読者に近い立場である編集者やライター、またはその知り合いの一般企業の社員といった人々だ。 「これは編集長である干場の時代を読む力だと思うのですが、メディアを立ち上げてからすぐに、オンラインの可能性は読者との距離が近いところにあると気が付いたんです。ところが、感度の高い情報を発信するだけでは読者と距離が生まれてしまい、動画をやっても思ったように観てもらえない。読者が関わりたくなるように、もっと敷居を低くする必要がありました」LE』の新たな編集方針をそれでは記事が読まれてもコミュニティにはならない。『これを着たら実際にモテた』なんて読者同士で話さないじゃないですか。それよりは『この服が好き』『あの車が好き』という会話のほうが盛り上がる。そこで動画の出演者たちは各ジャンルのカリスマというよりも、ファッション好き、時計好きの読者を代表する存在として出演していただいています。そんな方々が熱意を持って時計や車について語るから、読者にとっても趣味の話を思う存分にできる場所として認知され、徐々にコミュニティとなっていったのだと思っています」 このようなファンの〝居場所〟となったメディアは強い。常連客の多い飲食店のように、この場所がなくなってほしくないと思う人が増えれば増えるほど、ファンの熱量は高くなり、その熱量に惹かれた新規ファンの獲得につながる。 「実際、『毎週の配信が心の支えです』とまで言ってくださる方もいます。本当にありがたいですね」 こうした『FORZA STY栗原氏は「今まさに編集者の仕事が再定義されつつあると感じている」と語ってくれた。 「これまで出版社の編集者「中年と中古車」は若い頃にあこがれた名車を身近に感じさせて、中年の男心をくすぐる人気シリーズゆるい空気と確かなファッション情報でYouTubeの人気コンテンツとなった「アニ散歩」Instagramに投稿された読者自慢の腕時計も紹介。まさに“好き”でつながる場だ
元のページ ../index.html#4