雑誌広告2023_02
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新規顧客の開拓がどんどん困難になっている時代にあり、最近ではビジネスの世界でもファンの重要性が語られるようになりました。それ自体はいいことだと思います。しかし、ファンコミュニティのバブルが起こる中で、「ファンで儲ける」「ファンを囲い込む」という乱暴な考え方も残念ながら目立ちます。私たちが定義するファンとは、     7まれるのか。それは商品を介し商品をたくさん買ってくれる人ではありません。商品やブランドと感情的なつながりがある人人のことをファンと呼びます。では、つながりはどうしたら生た出会いが支えます。その商品が「好き」というだけの共通点で出会った人々が、語り合ったり、助け合ったりする場所ができると、それは特別な体験になります。これがファンコミュニティであり、こういう居場所ができると、人は簡単に離れないようになります。商品は機能的な価値だけではなく、人と人がつながるきっかけや情緒的な価値も提供しているということです。買ってもらって終わりではなく、このような価値の地道な積み上げが大切なのです。ところで、こうしたファンコミュニティの特徴は、まさに雑誌メディアの強みと重なるのではないかと思っています。特定のジャンルの「好き」を集めて、人々が交流する場を作る。それが雑誌の役割ですよね。しかも、編集者のみなさんは人に向き合い、人をつなぐことを仕事にされている。出版不況と言われますが、その価値はとても大きいと思います。弊社メンバーでも昨年、『レタスクラブ』の元編集長だった松田紀子が、新たに『オレンジページ』の編集長として招聘されました。松田と日々話していて感じるのは、雑誌は人をつなぐだけでなく、企業と生活者をつなぐ場として、もっと機能するということです。いち企業がゼロからコミュニティを立ち上げていくのはなかなかに大変な道のりです。そのときに雑誌が中心となって、その媒体と価値観が合いそうな企業を束ね、読者との共創プロジェクトを進めていく。そういった役割を担うこともできるはずです。ファンコミュニティの可能性を見直すことで、雑誌にはまだまだできることがあると思います。(談津田匡保氏)大切なのは、感情でファンとは何かがわかる好著2冊。(→)『ファンベース』(ちくま新書)の著者・佐藤尚之氏はファンと向き合うための考え方「ファンベース」の提唱者であり、ファンベースカンパニー会長を務める。(↑)佐藤氏と津田氏の共著『ファンベースなひとたち』(日経BP社)ファンベースカンパニーファンベースディレクターオレンジページ編集長ファンベースカンパニーCEO/ファンベースディレクター松田紀子氏津田匡保氏コミュニティバブルの今、つながれる人たちとの共創

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