雑誌の面白さに気づいた。それをきっかけにdマガジンに入会するという動きが起こってきています」(石川さん) さらに広告でも新たな兆しが見え始めている。dマガジンでは2018年の3月から広告事業をスタート。紙雑誌に入っている広告をそのまま転載するパターンと、紙雑誌には入ってないdマガジン専用の広告を掲載するパターンで広告事業として展開している。昨年はハイファッションブランドが、dマガジン専用広告の出稿をしたことが話題を集めた。dマガジンの広告を担当する広告会社、D2Cプロダクト部チーフの小山内緑さんは、現在の広告の状況をこう話す。 「昨年の3月頃から、ハイファッションブランドの広告主様に、dマガジンで配信しているファッション誌数誌に継続的に純広告を入れていただいています。紙とは異なり、表紙回りの広告がまだ少ないので参入障壁が低いという点がメリットになっています。広告主様からの掲載要望があってdマガジン広告事業に参画いただく雑誌もあり、今は4月時点)の雑誌にdマガジン広告事業に参画いただいています」 dマガジンの広告が注目されるきっかけとなったのが、2020年に日本雑誌広告協会が実施した『電子雑誌読者プロファイリング調査』だった。 「今の時代、広告主様の目はWEBやSNSなどの拡散型に向きがちです。ところがこの調査で、電子雑誌は可処分所得が高いユーザーが多いことや、紙と電子を問わず広告に対するストレスが少なく、広告をしっかりと読んでくれる読者がいることがわかりました。データで示されたことで、広告会社様や広告主様もdマガジン広告に興味を持ってくれるようになりました。PV数やUU数だけではなく熱量の高い読者、ファンを持つ雑誌メディアとしての価値をしっかりと伝えられたことが、広告出稿につながったのだと思います」(小山内さん) dマガジンでは今後も引き続き、広告にも力を入れていく。 「雑誌読者は広告に対して好意的というデータが出ているように、読者特性と広告の兼ね合いを大切にしながら、今後はdマガジンならではの新しい広告のスタイルをつくりたいですね。例えば、dマガジンではおすすめ記事をピックアップしたコーナーがありますが、それと同じように季節に合わせた雑誌の特集記事だけをピックアップしたコーナーをつくって、そこに関連する広告を掲載していくことができると、読者も楽しみながら広告を自然と受け入れてくれると思います。自然な形で広告の入口を増やす方法を考えていきたいです」(小山内さん) ここ数年、電子雑誌を絡めたサブスクをスタートした雑誌も増えている。今後、電子雑誌、そしてdマガジンはどのように進化していくのだろうか。 「dマガジンとしては、ポイントが二つあると思っています。一つは雑誌を読めるだけではなく、体験もできるようにすることです。例えば付録がついた雑誌が人気となっていますが、dマガジンでは付録は手に入りません。でも読者のなかには付録が欲しくて雑誌を購入する方もいるはずです。そこをECサイトとつないで付録を購入できるようにすることで、電子雑誌の読者も紙の雑誌と同じ体験ができます。そういった雑誌周辺の体験をdマガジンでもできるようにしていきたいです。 もう一つは若年層などライトに使う方へのアプローチです。その一環として、今年の2月には各出版社様のご協力を得て『サク読みチケット』というサービスをローンチしました。これは有料会員にならなくても一部の雑誌を3分間無料で読めるというものです。よりライトなユーザーに、雑誌を読むという体験をしてもらい、雑誌ならではの良さに気づいてもらうという狙いがあります。dマガジンは元々、立ち読み感覚で雑誌を楽しむことをコンセプトにしたサービスです。今の若い人に〝立ち読み〟と言っても響かない言葉になってしまいました。若年層に雑誌の楽しさを知ってもらう、その入口となるような動きをしていきたいですね」(石川さん) これまで電子雑誌は紙の雑誌をいつでもどこでも読めるようにするためのものだった。それが今dマガジンというプラットフォームによって、新たな役割を担おうとしている。 「書店の数が減り、コンビニでも雑誌の棚が縮小されていることを考えると、全国に雑誌メディアを伝える手段は限られてきていると思っています。dマガジンプロダクト部D2CチーフNTTドコモスマートライフカンパニーコンテンツサービス部書籍ビジネス担当 課長小山内 緑氏石川 大氏 466社201誌(2022年
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