雑誌広告2023_10
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⑤低ポコスストトコロ庶ナ民期派のグルメ そして、経済的に低コストの串焼きは厳しいポストコロナ期の経済状況にも合致した。 中国の経済は21年の夏以降、小中学生の学習塾禁止、IT業界や不動産業への締め付けなどが影響し、若者(16〜24歳)の失業率は21・3%と史上最悪を記録しており、大卒の就職難も続いている。筆者の周りでもIT関連で高給をとっていた飲食店でアルバイトをする別の知人は給料の未払いが数ヵ月続いている。「末日狂楽」ということばに凝縮される捨て鉢な気分のストレス解消にピッタリだった①な今かまっでた見中た国こ人との このように、淄博串焼きブームの主軸は大学生から国の大都市では近年急速に煙を出す串焼き屋台が一掃されており、北京市では2013年に、上海でも2 015年に汚染対策、火災防止、都市グレードアップ政策の一環として、路上の串焼きが禁止された。淄博市でも2015年には路上占有や煙汚染などの理由で露天での串焼きが禁止され、屋内やレストランの敷地内に限定された。淄博市はその後、後述する無煙炭火コンロの導入で、屋外の串焼きを復活させたが、全国の大都市では、露天商の排除のみならず全面的な街の管理強化が進んでいる。活気のあった小規模店や自由市場が都市開発の波で消される今日、庶民的な活気を求めて淄博に惹きつけられた都会人は少なくなかったはずだ。④イ差ン別ス化タと映え 中国の全国各地にある串焼きは、普通は日本同様に厨房で焼き上げる。一方で、淄博は客席で客が卓上コンロを使って最後の火入れをする独特の方式と次の3点を導入して差別化を図った。3点とは①(ピタパンのような掌サイズの)小麦粉の薄皮と②味噌、③卓上無煙炭火コンロを指し、ネットでは「魂の3点セット」と名付けられた。食べ方は北京ダックに似   5た要領だ。薄皮に味噌と調味料をのせ、焼きたてのジュージューいう串焼きを1、2本串ごと小口ネギ1本と共にのせて巻き、薄皮の上から肉をぎゅっと握り締めて串を下から抜き取ると、薄皮に味噌のついた肉とネギが挟まる。それをガブリと頂く。この珍しい食べ方は人々に「自分もやってみたい」と思わせ、ブームの重要な訴求点となった。SEが人気だ(次ページコラのが豪快で安い串焼きだったのかもしれない。 実際、筆者も試したが、淄博の串焼きの安さは破格だ。ビールと共にお腹いっぱい串焼きを食べて一人当たりたった50元(約10 0 0円)超だ。北京では50元では、流行りのクラフトビールはグラス1杯しか買えない。 これは、現在中国で進行する二極化の一極でもある。串焼きは2桁(1000円台)でお腹いっぱい食べられる下の極の代表料理だとすると、上の極は4桁(2万円)以上する高級路線で中でも高級日本食のOMAKAム参照)。広がる格差と共に串焼きの需要も増えている。だった。焼きたての肉を頬張り、豪快に食べても約1000円と財布に優しく、日頃のストレスも解消できる。話題の地で仲間と楽しんでいる姿をインスタで撮1人1000円台という良心的価格は物価高に苦しむ大都会の人々を驚かせた。開業も消費も低コストな串焼きは、この数年、全国的に注目を浴びている(筆者撮影)20代の新社会人の若者たち30代が首を切られ、北京のII日本への示唆

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