「GOLD事例①出版社だから取得できる精度の高いデータを活用サッポロビールエンゲージメント率の向上STAR」※ポストクッキー時代:サードパーティクッキーが規制された「あとの時代」。ポストクッキー時代はサードパーティクッキー以外の手段で顧客行動分析や広告配信などのマーケティング施策を行う必要がある。その課題解決策として出版社の持つ読者データ、記事閲覧データの活用に注目が集まっている 効果 3le2019年10月、講談社の11のウェブメディアに広告を配信できる「OTAKAD」がローンチ。記事の閲覧データを活用し、ディスプレイ広告とユーザーの最適なマッチングを目指したサービスは、さまざまなメディアで取り上げられ、話題となった。 「ですが、その頃にはもう、大手プラットフォーマーはデータを活用し、莫大な利益を上げていました。そう考えると、出版社はデータ活用に乗り出すのが遅かった」と、講談社OTAKAD事業リーダーの山崎瑛記氏は、当時を振り返る。 しかし後発ではあるが、出版社ウェブメディアが抱した広告配信サービスは多くありますが、平日と休日の情報ニーズの違いといった、細かなデータまで把握してターゲティングできるのは、出版社ならではでしょう」 多様なデータを取得できることは、効果検証にも活検索きる。 「バナーのクリック率が低い理由を探ろうとしても、そもそも取得できるデータが少なければ、検証さえも難しいものです。しかし、私たちが抱えている詳細なデータであれば、分析し、原因を探ることが可能です」 だが、現状はリーチ数(到達率)で大手プラットフォーマーに対抗することは難しい。一方で、「精度」や「深さ」を軸とした局地戦においては、出版社に軍配が上がるという。その効果について、山崎氏は「OTAKAD」のケースを例に解説してくれた。 「サッポロビール様は、ブランディングを目的とした、オウンドメディアを運営しえるデータには、いくつかの優位性が存在すると、山崎氏は続ける。 「たとえば、Googで記事を検索したユーザーがその先でどのようなアクションをしたかを、Googleは把握できません。読了率や、その先の遷移先などの詳細なデータを持っていることは、出版社の強みと言えます」出版社ウェブメディアを閲覧するのは、読者=ファンであるケースが多い。だから再訪率が高く、個々のユーザーのデータが蓄積されやすい。さらに自社メディアを横断してデータ収集を行うことで、記事を閲覧したユーザーの「興味関心」を広く、そして深く捉えることができる。 「ターゲティングを売りにデータは「21世紀の石油」と形容される。その石油を掘り当てた代表例が、GAFAと呼ばれる大手プラットフォーマーたちだ。これまで出版社は、その圧倒的なユーザー数というスケール感を前に、傍観しているしかなかった。しかし個人情報保護の観点から、サードパーティクッキーが徐々に廃止。2024年後半から、本格的なポストクッキー時代(※)が到来する。その代替として、いま、出版社の持つ読者データに注目が集まっている。デジタルマーケティングの転換点と呼ばれる「ポストクッキー時代」に、出版各社は、どのように対応していくのか。読者データを活用した広告配信サービス(DSP広告)を提供する、3社に話を聞いた。文/赤坂匡介「OTAKAD」では、講談社メディアの記事を閲覧したユーザーの、さまざまなデータを取得できる山崎瑛記氏CASE①講談社講談社 OTAKAD事業リーダー「OTAKAD」(オタカド)出版社の広告配信サービスは、広さではなく、深さで勝負出版社は“21世紀の石油”を掘り当てることができるかポストクッキー時代を見据えた、出版社のDSP広告の取り組み
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