雑誌広告2024_05
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三越伊勢丹外商顧客への配布を開始どんな商材であっても富裕層向けに編集する ii 6に位置する媒体ともいえる。 「だから、富裕層の中でも知的関心の高い人をメイン読者層として想定しています。ファッションを取り上げる際も、これが流行っているとの『現象』を紹介することよりも、デザイナーの思想やメッセージを伝えることを意識しています。そうすることで他の媒体では読めない記事になり、反響も大きくなる。読者の中には、『届いたら1カ月かけて隅々まで読んでいます』という方もいますね」 そうした「他では読めない記事」の好例が、日本のメディアには滅多に登場しないラグジュアリーブランドの経営者たちを取り上げた記事だろう。今年の3月号でもエルメス創業家の6世代目であるアクセル・デュマ氏を表紙に起用。貴重なインタビューを掲載した。 「これらは広告企画ではありません。彼らは『T JAてくれました。それは媒体への信頼があるからです」 そのようにメディアとしての評価を着実に積み上げていくことで、同誌では今春から新たな取り組みも始まった。それは三越伊勢丹の外商顧客への配布だ。 「他では読めない記事が充実しているからこそ、百貨店の重要顧客に配布する雑誌として選ばれた。もし、私たちが商品カタログのような媒体だったら、この提携は難しかったはず」 これにより『T JAPAN』は、富裕層の中でも消費性向が高いとされる百貨店の外商顧客にピンポイントで雑誌を届けることが可能になった。ラグジュアリーブランドなど高級品を扱う広告クライアントが中心の媒体としては大きな強みだ。 「私たちも百貨店の外商を通じて、全国の富裕層に雑誌を届けることができるようになる。この好機を活かして、さらに媒体を発展させていくつもりです」担い、コントロールする。その意味では、「書店取次ではなく、新聞の販売店に卸している雑〝紙〟」だと捉えてほしいと神山氏は言う。 「この体制にしたことで、発行ペースや配布方法を広告主のニーズに合わせて柔軟に対応できるようになりました。原則としては年4回ペースの発行と謳っているものの、昨年度だけで通常号が6回、1冊買い切りの特別号が4回と計10回も発行しています。 その特別号も北海道に新しいショップがオープンするからと、そのエリアの訴求に特化した内容にしたり、通常号でも広告主が神戸でイベントをやるから周辺エリアの配布数を厚くしたりと、販売店と提携しているから融通が利きます」神山氏は同紙の方針について、〝広告主の御用聞き〟であると述べる。しかし、それは決して媒体の立ち位置を卑下する意味ではない。 「これは雑誌の編集部ではなく、広告局が制作している媒体です。確固たる編集方針のあるメディアは、雑■見えざる富裕層■を顕在化させるメディアPAN』だからと取材を受けTme』は、今回取り上げ2019年3月に創刊した小学館の『Advanced た富裕層向け媒体の中では最後発にあたる。そのため、先行する他の媒体を研究し、同紙ならではの独自色を打ち出すことに腐心してきた。小学館広告局所属で、同紙発行人の神山敦行氏が語る。 「他の媒体は特定の新聞社と協業していますが、うちは後発ということもあり、各地に新聞を配る販売店と提携しています。朝日、読売、日経、中日の各紙購読者を中心に約20万部を新聞の折り込み冊子として配布していますが、企画内容によって配布するエリアや数は変わる。極端な言い方をすれば〝高級なチラシ〟であり、それが『Advanced です」 新聞社との協業ではないことから、コンテンツ制作から広告営業、マーケティングまで小学館がすべてをTme』という媒体の強み広告局 企画制作室(兼)第二企画営業室小学館2019年創刊『T JAPAN』編集長神山敦行氏八巻富美子氏CASE4■AdvancedTime■

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