人も社会も時代も求めているものそれが雑誌にはある 東京藝術大学学長特命審査委員長/クリエイティブディレクター/美術学部デザイン科教授箭内道彦氏雑誌が元気がないと言われて久しいですが、今日の印象では、雑誌にしかできない使命を粛々と果たし続けているように感じました。心の中の温かい部分とつながる広告を、人も、きっと社会も時代も求めていて、そこが「好きなもの」で溢れている雑誌は貴重な場所。インターネットの中には人の心の見たくない部分が溢れていたりもしますが、雑誌が社会を浄化し続けていく可能性も感じました。エンポリオアルマーニの作品は、純広では難しい柄本明・時生さん親子を起用した編集者のアイディアが秀逸。雑誌の編集者は才能 豊かな人たちなので、その想いや経験、センスを社会にもっと還元してほしいと思います。もちろん広告代理店や広告クリエイターが作っている純広もとても大事で、以前は純広に目が行きがちでしたが、タイアップにも質の高いものが多く、今回は三越伊勢丹のタイアップがグランプリを受賞しました。ローソンの「私の仕事道」も雑誌の編集者だからこそ紡ぐことのできた想い。自身では経験ができない人でも雑誌を通して様々な世界を温かく目にすることができる。ここがすごくいい。 「メディア複合型広告」ですが、今年の作品は解釈を広げてリアルなイベントに広がりをもたせる傾向が主流でした。ただ、デジタルのあるべき姿を創造するのも、ぬくもりや浄化力を持っている雑誌なのかもしれません。来年に期待しています。37
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