編集長メッセージに込められた想い、狙いとは?次号予告やEditor s Letterなど編集長は、雑誌の制作を先導するリーダーだ。各媒体の“らしさ”を常に追求し、特集や記事の方向性を決定するとともに、誰よりも真摯に読者と向き合う「雑誌の顔」。しかし雑誌を読んでいると、“顔”であるはずの編集長が誌面で直接メッセージを発信する機会がそう多くないことに気づく。たとえば、雑誌の「次号予告」や「Editor's Letter」など、限られたページだけだ。そこに各媒体の編集長たちは、どんな想い、こだわりを持っているのだろうか?『MEN'S NON-NO』、『Numéro TOKYO』、『WIRED』日本版の3誌の編集長に、話を聞いた。取材・文/赤坂匡介 近年、雑誌は紙だけではなく、デジタルやSNSなども含めた「雑誌ブランド」として、多様な展開を推し進めている。そのブランド力を形成しているのは、特定の層(読者)から支持される各媒体が持つコンテンツ力だ。近年、読者との接点は多様化しているものの、軸にあるのは「雑誌」のコンテンツであり、そのためには愛される誌面づくりが不可欠だ。 「『MEN'S NON-NO』の読者層は、主に10代後半から20代前半です。昔と違い、その世代の読者は、そもそも雑誌を読む習慣がありません。そのなかで、いかに雑誌を手に取ってもらうかを常に試行錯誤しています」と、『メンズノンノ』プリント版編集長吉崎哲一郎氏は語る。 「若者たちにとってファッション誌が情報源だった時代は、雑誌は今シーズンのトレンドやスタイルを伝えるといった、指南役的な側面がありました。しかし現代は、さまざまな情報源がありますから、ゼロから情報を得るというよりは、すでにある情報の補完的な意味合いで雑誌を読む読者が多いんです。読者の頭の中には、すでにぼんやりとした〝方向性〟自体はある。そこにそっと寄り添って、困っていることや悩みを解決する選択肢を提示できる雑誌であることが、『MEN' S NON-NO』の役割だと考えています」 時代の変化と共に、ライ 「内容には自信を持っています。しかし、いまの若年層にとって、身近な情報源は雑誌ではなく、SNSですよね。そこには、発信者=人がいて、顔が見えるコミュニケーションが信頼につながっている。ならば、これからの雑誌には、〝人格〟が必要なのではないか。特集のタイトルひとつ取っても、そのワードには〝ME N'S NON-NOらしさ〟が漂い、思わず手に取りたくなるような愛らしさ、フックが必要なのではないか。そう考えています」2021年から『UOM O』の副編集長を務めたのち、2024年6月から、プリント版『メンズノンノ』編集長に就任。「伝統は大切にしつつも、変えるべきところはどんどん変えて、新しいことに積極的に挑戦したい」という思いを胸に、吉崎氏は『MEN'S NON-NO』のアップデートを試みている。そのひとつが「次号予告」だ。 「次号予告はそれまで、特集タイトルや目次の紹介だけだったのですが、雑誌に〝人格〟を付与するために、私が編集長に就任してからは、堅苦しくない言葉で、特集を紹介する文章を添えるようにしました」 目指したのは、上から目線ではなく、親しみを覚えてもらえるようなもの。「次号予告」に、広告コピーの視点を付与フスタイルや価値観も多様化した。そのなかで、「おしゃれ」を捉え直し、ファッション中心だった誌面はライフスタイルにまでテーマを拡大。メンズ美容にもますます力を入れるなど、誌面の充実を図っている。雑誌にも〝人格〟を。フレンドリーな次号予告を発信吉崎哲一郎氏(上)、『MEN'S NON-NO』2025年1・2月合併号表紙(右)CASE1□MEN’S NON-NO□集英社プリント版編集長吉崎哲一郎3
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