いるのは「インプレッションの保証」ではなく、「何が出てくるかわからない、生活者のリアルな声」というアンコントローラブルな価値ですよね。丸田 おっしゃる通りです。「リーチ数」や「インフルエンサー的な使い方」を求められやすいのは、「どのような施策をするべきか」ではなく、「どの媒体にいくら予算を振り分けるべきか」という、プランニングの下流フェーズに出版社がいるからです。私たちが読者コミュニティの本当の価防ぐためにも社内ハブとしてのドクチョー総研の役割が活きてきます。光文社の読者にも、顔出しOKで美容オタクでもある『美ST』の読者モデルのような層もいれば、鍵垢で発信力はまったくないけど、特定ブランドの熱狂的ファンであるママさんグループなど、多様な層が存在します。「今回はインフルエンサーの拡散よりも、女性のリアルな悩みを探ったほうが課題解決につながりますよ」と、クライアントの目的別に組織を振り分けて提案することが重要だと感じています。岩井 うちの場合も、長く歴史がある分、「親子3代で読者です」といった雑誌に愛着の強い方が多く、それほど自己顕示欲が強くない方々が中心です。先ほどの、生活感あふれる冷蔵庫の中身の写真を送ってくれる方々はまさにその層です。一方、自分のライフスタイルを発信したい方には、ウェブメディア側で「オレペエディター」という発信力の高い組織を別に用意しており、クライアントの目的に合わせて棲み分けを行っています。浜本 少し視点を変えると、男性誌『Tarzan』のコミュニティ(Team Tarzan)などは、また少し毛色が異なります。フィットネスに特化した月額制のオンラインサービスで、雑誌購読のほかに講師イベントやトレーニングプログラムの受講などが付きます。これは「雑誌に貢献したい」というよりも、「同じ趣味の仲間たちで切磋琢磨したい」という需要に応えた、とても男性誌らしい読者コミュニティの例だと思います。 女性誌とは違い、男性誌の場合は「スクール」や「趣味への投資」といったかたちで熱量の高いコミュニティが形成されやすい。そういった性別やジャンルによる違いも面白い傾向です。――広告会社やクライアントは、どうしても「この読者組織は何人いて、どれだけのインプレッション(露出効果)が見込めるのか」という数値化を求めがちです。しかし、皆さんが提供してるくらい、みんな普通の生活を楽しんでいる女の子なのです。 でも、東京だけでなく、日本全国のそういう子たちの意見を聞ける場というのは、決して多くはありません。たとえ拡散力がなくても非常に貴重なはずであり、企業にとっても参考になるはずだと思っています。原 そうしたミスマッチを値を提供するには、もっと上流の「ブランドの戦略をどう作るか」「生活者の課題はどこにあるのか」というマーケティングの根幹のフェーズから、出版社が入り込むようにならなければなりません。浜本 少しずつですが、クライアントと編集部が直接やり取りして、「どういう企画が効果的か」と一緒に考える案件も増えてきています。その一つである石川県庁様との取り組みでは、現地の魅力をハナコラボのメンバーが継続的に発信しています。これは写真家でnon-no大学生エディターズ集英社2022年6月に発足。現役大学生だけで構成されている読者組織であり、大学卒業と同時にメンバーからも卒業となる点が特徴。参加者は主に「non-no web」上で記事投稿を行い、現役大学生のリアルなトレンドを他の読者に届けている。参加は審査制で会員数は155人。Web編集長中込直子氏※取材当時6
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